Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

大雨などの災害で、線路が長期間不通になったら貨物列車はどうなる?

今年も、全国様々な地域で豪雨による災害が相次いでいます。山陽本線では7月8日から降り続いた大雨の影響により盛土の一部に亀裂が発生、13日間運休となりました。その間、広島貨物ターミナル駅・南陽駅~北九州貨物ターミナル駅・福岡貨物ターミナル駅間、宇部駅~下関駅間でトラック代行輸送を行いました。
多治見通運ではトラック代行輸送ルートが設定される前に、いち早くクロスドックを行いました。実施したのは姫路貨物駅。多治見駅から医療材料を積載したコンテナをトラックで運び、北九州貨物ターミナルからやってきたトラックのコンテナを交換。いずれ試験輸送を行う流れではあったのですが、一刻を争う事態ということもあり、リハーサルなしでのトライとなりました。この実績を基に、さらに様々な箇所で輸送体制が整うことを願ってやみません。
多治見通運の関谷社長は、クロスドック輸送体制は様々な駅間で展開できるのが望ましいと考えています。私は当初
「連携する通運会社を増やし、この取り組みを大きくしていくのが良いのでは」
と考えていました。しかし、規模が大きくなればなるほど、各所の意思疎通や合意に時間がかかります。JR貨物がトラック代行輸送を行うまでにタイムラグがあることから、クロスドック輸送という手段を考案し体制を構築したにも関わらず、本末転倒な結果になっては元も子もありません。ですから、小規模なクロスドック輸送体制ポイントが全国各地に構築されるのが、一番望ましく、動きやすいのです。
とはいえ、関門・青函といった、本州との交通の要であるポイントが不通になると、その両端にある通運の業務量は膨大なことになり、クロスドック輸送を行うリソースが残されていないかもしれません。そのような場合には、現在JR貨物とセンコーが共同発注し2024年春に竣工予定となっている内航船のような、いざというときにコンテナを運ぶ別の手段を複数持つことも必要になります。
「線路が長期間不通になったらどうするんですか?」
2024年問題が迫る中、お客様の疑問に胸を張って答えられるよう、通運全体で様々な解決策をもち、それらを共有していくことが、これからますます重要になります。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
https://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。