Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

水分は輸送の大敵!

 

前回(『適材適所のコンテナ選び』)水分は大敵というお話しをしました。これは鉄道貨物輸送だけでなく、どの輸送でもそうだと思いますが、雨などで積載物が濡れてしまうと、商品価値がなくなってしまうものも多々。雨の日の積み降ろしには特に気を遣いますし、トラックの配車も、降雨が予想される場合には

 

「ここには屋根があるけれど単車(コンテナ1個積みのトラック)分しかないから2個積みはNG」

 

「雨だと後ろからしか積めないから、側妻(側面と妻面が開くタイプのコンテナ)で向かって」

 

等、いつもと違う配車パターンになることも少なくありません。駅でコンテナを積んで、降ろして、別の場所で荷物を積んで、駅で降ろして、また積んで…というリズミカルな業務の、最も身近で面倒な敵は、降雨なのです。

 

さて、もしもコンテナから荷物を降ろす際に、その荷物が濡れていたらどうするのでしょうか。これは現場によりけりで、お客様のご了承をいただいた上でそのまま受領していただいたり、持ち戻りになってしまったり。濡れていたり箱潰れが起きていた場合は、発通運と着通運で情報を共有します。どのような状況で起きたのか、積み方に問題はなかったか等を発着ドライバーにヒアリングし、原因を探っていきます。その中で、たとえば積んだ日も降ろした日も晴れていたけれど、コンテナのパッキン付近の荷物が濡れていた…などの時は、コンテナ自体に原因がある可能性も。その場合、JR貨物「シャワーテスト」を依頼します。パッキン劣化などが原因であれば、そのコンテナを使い続けることで、再び荷物の浸水が起こりえますから、速やかに運用から外します。連絡のタイミングによっては、既に他通運が使用していることもあり、その場合はIT-FRENSに、検修入りのため空状態で駅へ戻すよう表示がなされます。駅の検修部門では実際にコンテナへ水をかけてチェックし、問題があれば修繕、なければ再び運用に戻されます。

 

近年ではゲリラ豪雨などもあり、突発的な降雨も増えています。配車の工夫のほか、状況によりコンテナの下へ紙を敷いたり、袋をかぶせたりと工夫を凝らしながら、水濡れ事故防止に努めています。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。