Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

鉄道貨物講座での話題2:汎用コンテナ20形式について

前回に引き続き、名古屋貨物ターミナル駅で11月17日に開催された「鉄道貨物フェスティバルin名古屋」内「鉄道貨物講座」でお話しした話題の中から、特に反響のあったものについてお伝えします。

前回、12ftコンテナでよく見かける、19Dや19Gといったコンテナの種類についてお話ししました。この19という数字はコンテナの内容積を指し、どちらも四捨五入して19立方メートルの容積があり、19形式と呼ばれています。また、コンテナに真空断熱パネルを使用した、日本石油輸送所有のSUPER URというコンテナは、このパネルの厚さ分の容積が減り、およそ17立方メートルになっているほか、コンテナにエンジンを搭載した冷凍コンテナは16立方メートルと、荷物を載せるスペースが少なくなっています。

これまで、JR貨物の汎用サイズコンテナは19形式のコンテナだったのですが、昨年から、高さが10cm高くなった20形式へと変更されました。この20形式コンテナは19形式と容易に見分けがつくよう、コンテナ上部がハチマキのように白く塗装されています。イベント会場でも、講座後「ハチマキあったよ!」と教えてくださるお子様がいらして、視覚効果は抜群だと感じました。

20形式コンテナは「背高コンテナ」といわれることも。これはもちろん、19形式に比べて背が高いことを表すから。実は昨年まで、背高コンテナが入れない区間がありました。これは、コンテナ車に積載した際、決められた高さ制限を超えてしまう可能性があったためです。国鉄時代につくられたコンテナ車、コキ50000形に20形式コンテナを積載すると、10cmほど高さ制限をオーバーしてしまうため、車両限界に余裕のある区間では運用に入ることがあったものの、シビアな区間では使用NGとなっていたのでした。そんなコキ50000形は昨年3月に運用を終了し、現在運用に就いているのはコキ100系のみです。コキ100系はJR貨物発足後に登場したコンテナ車で、床面の高さがコキ50000形に比べ10cm低くなり、20形式コンテナを積載しても高さ制限内に収まるようになりました。

たかが10cm、されど10cm。鉄道コンテナの便利さはますます広がります。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。