【第125回】JR貨物を支える仕組み「アボイダブルコスト」とは

青函付加料金10年に思うこと
前回に続き、料金関係のお話です。今年で北海道新幹線運行開始から10周年を迎えましたが、ということは青函付加料金の導入からも10年が経ったのだなあと、ニュースを眺めながら感慨深く思っていました。青函付加料金は、青函トンネルで北海道新幹線と貨物列車が共用運行することに伴い、EH800形式機関車の導入をはじめとするJR貨物の設備投資を回収するため設定されたものです。1コンテナごとに付加料金が発生するため、当時はお客様へのご説明に奔走した思い出があります。
ところで、こうした「必ずかかるコスト」に対して、季節や条件によって発生したり回避できたりするコストもあります。前回お話ししたコンテナの冬期作業料金もその代表例です。こうした「回避できるコスト」という考え方は、実は鉄道貨物の料金体系の根幹にも深く関わっています。そこで今回は、鉄道貨物の世界でよく耳にする「アボイダブルコスト」というルールについて、少し整理してみたいと思います。
国鉄民営化が生んだルール
アボイダブルコストは英語でAvoidable Cost、日本語では「回避可能経費」といい、JR東海など旅客会社の路線を走ることの多いJR貨物が、各会社に支払う線路使用料の算定方式です。貨物列車が走ることで追加的に発生するコストのみをJR貨物が負担するという考え方で、貨物輸送がなければ「回避できたはずのコスト」だけを算定することからこの名前がついています。
このルールが生まれた背景には、国鉄民営化があります。分割民営化により線路は旅客会社の財産となり、JR貨物は線路使用料を旅客会社に支払う立場になりました。しかし経営基盤の脆弱なJR貨物への支援策として、一般的な線路使用料のおよそ10%程度の負担で済むアボイダブルコストルールが導入されたのです。
その後、整備新幹線の開業により在来線が旅客会社から分離される場面が増えると、このルールの維持が難しくなる懸念が生じました。そこでJR旅客会社が国に支払う新幹線貸付料をこれに充てる仕組みが整えられ、アボイダブルコストルールは現在まで続いています。











