Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

IT-FRENS&TRACEシステムとは…

「鉄道のコンテナって、1つくらい借りっぱなしでもバレないんじゃない?」
と、冗談交じりに言われることがあります。

廃コンテナは倉庫として重宝されたりしますし、そう思われるのはよく分かります。
でも、無理なんです。

 

その理由が、2004年から運用を開始した「IT-FRENS&TRACEシステム」。

IT-FRENSはインターネットを活用した予約システムです。それまでは貨物駅事務所に空き状況を問い合わせたり、予約申し込みを行っていたのを、通運がインターネット上で調べ、直接予約することが可能になりました。1つの列車につき発送可能なコンテナの数は決まっており、その数のことを「枠」といいます。なるべく早く到着しなければならないコンテナと遅い列車でも構わないものを自動的に振り分ける自動枠調整機能により、より効率的にコンテナを目的地へと運ぶことが可能となりました。

 

TRACEシステムは、個別のコンテナの所在をGPSを用いて即時追跡できる仕組みで、これにより列車上にあるコンテナがどの駅間にあるのか、途中駅で貨車の上に積まれたのか、そうでないのかまで分かるようになりました。また、貨物駅のどこに置かれているのかも分かるため、フォークリフトを使って貨車に積む作業もスムースに。荷役時間の短縮に繋がり、利便性が向上しました。

 

位置状況の把握のため、コンテナ一つ一つにはIDタグが取り付けられています。長期間駅の外にあると、いつどの通運が持ち出したコンテナなのか、あっという間にトレースすることができる…ということは、冒頭のような、借りっぱなしで…いうことが不可能なのが分かるかと思います。

 

また、駅の中にあっても、一定期間以上荷物をコンテナの中に入れた状態だと「コンテナ貨物留置料」がかかってきます。こういった料金の算出も、IT-FRENS&TRACEシステムを用いて行っており、複雑な仕組みの輸送運賃算定において、強い味方となっています。

 

システム導入により、JR貨物だけでなく通運の手間も簡略化されたほか、私有コンテナを持っている会社も、行方不明コンテナを実際に探しに行く手間が省けたそう。一趣味者としては、IT-FRENS導入により、行先や品目の書かれたコンテナ荷票が無くなって淋しくもあったのですが
「昔は、駅や通運さんを一件ずつ訪ねて『すみません、うちのUX-XXXXってコンテナ知りませんか?』って訊いていたんですよ」
というお話しや、過去の枠取りの煩雑さなどを伺い聴くと、システムのありがたさを実感するのでした。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。