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【第100回】ローリングストックコンテナは可能?

備蓄拠点への輸送について

鉄道コンテナを災害時の備蓄品保管として用い、一定期間後に中身の物品を消費する「ローリングストックコンテナ」としての利用が可能かどうかの後編です。
前回、積載時の問題や留置料、固定資産税などの問題について述べました。積載に関しては、実際に運用に就く鉄道コンテナを利用する以上、どこかの貨物駅から鉄路を利用して別駅へ運び、そこから備蓄拠点へ輸送するという流れである以上、備蓄が必要となる場所から距離の離れたところで、必要な荷物を積む必要があることや、積載品が多種に渡ることから、積む場所にたとえば水も食料も、あるいは毛布なども置かれている必要があります。これに関しては、災害備蓄品の保管と輸送を行う事業者もありますので、協業すればクリアすることが可能でしょう。

留置料や固定資産税は?

次に、長期間留め置く際の留置料について。これは、留置料の特例などを設置して、柔軟に対応いただくか、ローリングストックコンテナのプラン自体に、留置料も加味しておくことが必要になります。
最後に、固定資産税の問題です。コンテナハウスなどは建築物とみなされ、固定資産税の課税対象となります。国土交通省の説明では「随時かつ任意に移動できないコンテナ」が建築物に該当するとのこと。想定しているローリングストックコンテナの場合は、あくまでも輸送中のコンテナとなるので対象外となるでしょう。固定資産税の対象にならないとはいえ、通常のローリングストックであれば半年から1年などの期間で入れ替えるものを、短いスパンで交換するのはコストがかかります。
実際に上記のような取り組みを行うには、洗い出されていない問題点もありますし、そもそも鉄道コンテナを利用しなくても良いのではないかという考えもあるでしょう。しかし、災害の起きていないエリアで自エリアの備蓄を行うことは、荷物が確保・確約され、優先的に届けられるという安心感につながり、BCP策定にも有効となります。
鉄道コンテナ輸送にプラスアルファの付加価値がつけば、より利用の可能性が広がるはずです。様々なアイデアでデモイベントや試験輸送などが行われ、市場が活性化することを祈っています。