Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

意外な形でモーダルシフト?

 

以前お伝えしたSDGsカーボンオフセットへの取り組み、そして先日は菅総理大臣の所信表明演説にて

 

「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」

 

と、脱炭素社会の実現について触れられたこともあり、地球環境にやさしい鉄道貨物輸送への関心は、ますます高まることが予想されます。

 

しかし実は、幹線輸送については人気が集中し、輸送枠が取りにくいこともしばしば。そんな時の輸送枠確保のあれこれについては、第18回で書かせていただきました。

 

輸送枠というのは旅行会社が出しているプランのようなもので、出発駅から到着駅までのルートは積載列車や中継駅(旅客でいう乗り継ぎ駅のようなもの)がそれぞれ決まっています。設定されている枠は、発送日や発着駅などの事項を入力して検索すると、IT-FRENS上に一覧として表示されます。

 

速達列車はあっという間に枠が埋まることも多いのですが、ぐるりと大回りするルートの列車や、中継駅が多い枠などは、輸送障害が起きた際に影響を受ける可能性もあるので、どちらかというと不人気となります。急がない荷物などをあえてそんな枠に入れ、代わりに急ぐ荷物は直通の列車で…などといったテクニックは使いますが、それでも空きやすい列車というのは存在します。

 

また、枠の取りやすさは曜日にも関係しています。平日の枠は比較的埋まりやすいですが、日曜発の場合は同じ列車でも取りやすいことも。工場での生産や出荷は平日がメインとなる企業が多く、集荷も、荷物が出そろった平日の午後に集中します。そういったコンテナが日曜発の列車に積載される場合、出発駅で数日留め置かれるということに。結果的に到着まで日数がかかってしまうため、避けられることが多いです。

 

しかし現在は、あえて積荷の少ない列車を選んでトラック輸送からの転換を行ったり、日曜や連休を選んで特別列車を仕立てる例も増えてきました。空いている枠や運行ダイヤを効率的に使う動きはますます活発化してくるでしょう。

 

余談ですが、この動きは旅客列車の一部を利用した小口輸送にも広がっています。関東大手私鉄である西武や東武の特急列車に沿線の特産品を載せて、いち早く都心の関連施設で販売されたり、JR東日本でも特急や新幹線に足の速い魚介類を載せ、都内で店頭販売や宅配が行われたり。

 

これまで
「このルートはトラックでないと」と思っていた輸送が、意外な形でモーダルシフトできることもあるかもしれません。

 

通運は、普段から複合一貫輸送の手配を行っているからこそ、荷物や着地に合わせた輸送の最適化が得意分野です。少しでも気になったら、ぜひご相談ください

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。