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【第108回】「500才」のその先へ

通運の現場で変わる才数の常識

「12フィートコンテナには500才の荷物が積めますよ」
このフレーズは、私が多治見通運に勤めていた頃、お客様への案内でよく使っていたものです。テレビ番組『鉄オタ選手権 JR貨物の陣』でもご紹介したこの「500才」という単位は、物流業界で長く使われてきた体積の実用単位で、みかん箱1箱分=1才という形で、荷物量の目安として活用されています。

「12フィート=500才」の常識が変わる?

最近、この「500才」という基準が、少しずつ変わってきているのを実感した会話がありました。
ある通運会社の方とお話ししていた時に「うちは今、12フィートコンテナ=550才で案内しています」と仰られたのです。その背景にあるのは、12フィート汎用コンテナの19㎥から20㎥サイズへの移行。コンテナの内寸が10cm高くなったことで、積載できる体積が増えたのです。
たった10cm?と思われるかもしれませんが、計算してみると実に約29.8才分の荷物を多く積むことができます。通運の現場では「あと1cm高さがあればこの荷物も載ったのに…」という場面が何度もあるだけに、この10cmの進化はとても大きな変化です。

「才(さい)」ってどんな単位?

ちなみに、1才は1立方尺(約0.0278㎥)という尺貫法由来の体積単位。今でこそ立方メートルやリットルが一般的ですが、物流や建築の現場では今も使われ続けている「実務に生きる文化財」のような存在です。
荷物量を「〇才」と表現する感覚は、昔ながらの道具立てでありながら、今も実務の中で脈々と活きています。
もちろん、才数はあくまで目安。荷物の形や積み方、重量によって実際に積める量は変わります。でも「あれ、今は550才かも?」と想像しながら、上部が白く塗られたハチマキのような20㎥級コンテナを見ると、ちょっとだけ通運の世界が身近に感じられるかもしれませんよ。