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【第106回】地域のお荷物を輸送で輝かせる

冬の雪はお荷物、夏の雪は・・・

雪を鉄道コンテナで輸送した話題の後編です。
雪輸送には保冷コンテナが用いられました。このコラムでも何度かご紹介していますが、恐らく使用されたのは日本石油輸送がリースしている真っ白なコンテナ。内部に保温材やアルミ板を用いて温度変化を少なくした構造で、夏の厳しい暑さだけでなく、冬季の寒さによる凍結からも守ってくれる、ありがたい存在です。
夏場はドライアイスを入れて生鮮食品の輸送に多く使われていますが、保管設備とコストさえ合えば、雪をドライアイスの代わりとして使うことも可能かもしれません。ただし、使用後は気化するドライアイスに比べ、雪の場合は水になってしまうので、輸送時の対策が必要になってしまうのですが…
そもそも、前回の記事の中で雪を輸送して夏場の冷房エネルギーとして使用したのは、豪雪に悩まされる魚沼地区の「我々が雪を否定したら地域を否定することになる」という思いからでした。
地域や企業にとってその名の通り「お荷物」になってしまうものを、舞台を変えてスポットライトを当てることはできないか。より価値のあるものにできないか。
これは荷物自体だけではなく、輸送手段を変える=モーダルシフトそのものにも当てはまり、トラックから鉄道輸送に切り替えたことにより更なる価値を持たせることはできないかということは、現役時代から常日頃考えていることでした。
今回知った雪の鉄道輸送は、荷物の価値の向上について考える良いきっかけとなりました。

荷物によるシビックプライドの醸成

少し話は変わりますが、現在は液晶テレビ工場撤退のため使われることがなくなった「世界の亀山」というフレーズも、商品と地域の価値向上に寄与していました。〇〇のあるまち〇〇というブランディングは、企業だけでなくそこに住む方々のシビックプライド(地域への誇りや愛着)の醸成にも結び付きます。
雪の鉄道輸送は、単なる荷物の移動を超えて、地域の誇りを運ぶ旅でもありました。魚沼の雪が首都圏で輝いたように、どんな「お荷物」も新たな舞台で価値を生み、シビックプライドを育む可能性をこれからも秘めています。