Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

パロマコンテナによる鉄道貨物輸送の様子 Part-1


積み込みの様子

2016年12月から、鉄道ラッピングコンテナによる輸送を開始した株式会社パロマ様。多治見通運では、この「パロマコンテナ」の輸送をはじめ、東海圏におけるパロマ様の鉄道輸送を担当しています。今回は実際に、このパロマコンテナでどんなものがどんな風に運ばれているのかを追ってみたいと思います。

8月某日、北海道の東室蘭駅に、日本石油輸送のリースコンテナUR19A-1500、いわゆる「白パロマ」と呼ばれるコンテナの姿がありました。パロマ様のラッピングが施されたコンテナはもう一つ、「赤パロマ」と呼ばれるUR19A-1501があり、両方とも、名古屋貨物ターミナル駅と東室蘭駅を結ぶ輸送に使用されています。

東室蘭駅室蘭海陸通運のトラックに載せられた白パロマは、国道36号線を走り、登別市にあるパロマ北海道工場へ到着。この工場では、各地の工場で使用される電装部品が製造されています。

工場では、既に白パロマへ載せるための荷物がパレット上に準備されていました。では一つずつ載せて…と簡単ではないのが鉄道貨物輸送。最大重量5tの荷物を載せたコンテナが連なる列車は、車輪や線路にかなりの負担がかかります。コンテナ内の荷物が左右に偏って積載されている状態のことを偏積といい、あまりにひどい場合は脱線事故にも繋がりかねません。JR貨物では本州と北海道を結ぶ輸送での偏積防止に特に力を入れており、パロマ北海道工場では偏積防止のための独自システムを導入しています。これは、荷物を載せた各パレットの重量を入力すると、コンテナ内のどの位置が最適なのか算出してくれる優れもの。しかしこの場合、全ての荷物が出そろい、パレットに載せた後でないと計算ができないのが難点となります。今後はパレット毎ではなく荷物単位で計測してより早く積載できるようにしていきたいと、パロマ北海道工場の宮川様がお話しくださいました。また、偏積防止への取り組みやシステム導入などにより、積載量はパレット換算で13枚から12枚と1枚減ったそうです。しかし、これも安全に輸送を行うためですから、との宮川様の声に、元通運社員として胸が熱くなりました。偏積防止の取り組みは、JR貨物・通運・荷主が一体とならなければ成しえません。荷主であるパロマ様が意識的に取り組んでくださっていることはとてもありがたく、同時に安全安心な鉄道貨物輸送への期待も感じました。(次回Part-2に続きます

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

関連記事

小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。