【第120回】吹田貨物ターミナル駅「コンテナ博2026」が示した未来(後編)

現地で見た「未来のファン」たちの姿
イベント当日は撮影しやすい薄曇りで程よい気候だったため、涼を求めてという風ではありませんでしたが、それでも冷凍コンテナの体験コーナーは大盛況。実際に中へ入り冷気を体験できるとあって、31フィートコンテナの妻側から入る参加者からは「洞窟みたいだね」という声も。あまりの面白さに「もう一回!」とリピートする子どもの姿もあり、行列が絶えませんでした。
趣味者に人気だったのは、ヘッドマークの展示コーナーです。吹田操車場100年、吹田貨物ターミナル10周年を記念するヘッドマークのデザインは、分かる方には分かる「たから号」をイメージしたデザイン!たから号とは、1959年から国鉄が運行したコンテナ専用列車の愛称です。コンテナ輸送の草分け的存在で、東京~大阪間を結び、吹田操車場を経由していました。現在のJRコンテナ輸送の原点ともいえる列車です。分かる人には分かる、心くすぐられるデザインに思わずニヤリとしました。
そして会場の突き当りには、以前このコラムでもご紹介したリサーチキャビンが鎮座。テレビ番組などで取り上げられ「レアなコンテナ」と紹介される機会も多いため「リサーチキャビンだ!」と名称を呼ぶ声も多く聞こえました。コンテナ自体に名称や愛称がついていると、より親しみを持てますね。「えーっ!これ人が乗るコンテナなんだって。すごいレアらしいよ。写真撮ろう!」そう言って、記念撮影をする方もたくさん居られました。
リサーチキャビンの隣には、フォークリフトとトップリフターが並べて置かれていました。ここまでコンテナ車20両分、約400mという長さです。イベントが終了して吹田タを出てから、足の疲れがどっと出たのは、私が会場を何往復もしながら見学や撮影に興じていたからなのでしょう。
イベント後半、息子はプラレールのコーナーに張り付き。コンテナひとつひとつの魅力はまだ伝わらず残念でしたが楽しんでくれたようで何より。夫も興味はないものの、1両にわざわざ5個並べられた通風コンテナや背高コンテナなど「そうか、並べ方もこだわってるのか」と気づいてくれただけで、コンテナ趣味者としては嬉しい一日でした。

貨物駅と地域の新しい未来
沿線地域との難しい調整を経て共生してきた吹田タという場所で、子どもたちの笑顔が溢れるコンテナ特化型イベントが開催されたことは、大げさな言い方かもしれませんが、物流インフラの未来にとって非常に大きな一歩だと感じます。
車扱列車が激減した現在、鉄道貨物輸送の主役は間違いなくコンテナです。しかし、外側から見れば「何を運んでいるか分からない」「どれも同じ箱に見える」と思われがちなのも、また鉄道コンテナの宿命かもしれません。そんなコンテナたちが、これほどまでに人を惹きつける力と、イベントの主役を張れるポテンシャルを持っていたということは、吹田だけでなく全国のほかの貨物駅にとっても、大きな希望であり、これからの地域共生のヒントになるはずです。
普段は日常の風景に溶け込んでいて、じっくり見る機会の少ない貨物駅やコンテナ。しかしそれらが、次世代のファンを育てるオープンな場所、そして愛される存在になるという、確かな可能性が見えた一日でした。これからのJR貨物の、ファンづくりの新しい形として、今後の他駅への広がりにも大いに期待したいと思います。











