【第105回】コンテナで雪輸送?

東京オリンピックの暑さ対策
とあるドライバーさんとお話ししていた時、興味深い話を聴きました。
「僕ね、雪の入った鉄道コンテナを運んだことがあるんですよ」
貨物列車と雪といえば、北海道や東北方面からやってきた貨物列車が、雪の少ない場所にあってもまだ機関車の前面やコンテナの上に雪を積もらせてやってくるなんて、長距離を走るからこそのロマンがあったりするのですが…それですか?
「違う違う!雪が荷物だったんですよ!」
なんと、東京オリンピック開催において、酷暑対策として雪を用いる案が出され、それを鉄道貨物輸送、保冷コンテナを使って行われたのだとか。
こちらの記事によると、最初は粉末などを入れる巨大なバッグ、フレキシブルコンテナバッグ(略してフレコンバッグと呼ばれています)に入れて普通のトラックで運んだようですが、運ぶ間に水になってしまったとのこと。そこで運搬を担ったのが、保冷コンテナ。ドライバーさんは関東の駅から会場近くの道までコンテナを運び、フレコンバッグから小さな袋に雪を詰めるスタッフさんや、雪に喜ぶ方々の様子をご覧になられたのだとか。
「暑いからどんどん水にはなっていくんですけどね」
と苦笑いしつつも、まさかの方法で涼を得る、そのお手伝いができたことに誇らしげでした。
輸送で価値の向上を!
輸送というのは偉大なものです。
以前、北海道遠軽地方を走る石北本線と貨物輸送についてもお話ししましたが、A地点ではとるに足らないものだと思われていたものが、B地点まで運ぶことによって価値のあるものになるということはよくあること。
農産物もそうですし、今回の雪も、豪雪地帯では捨て場所に困るほどのものですが、夏場まで保管し、それを的確な場所まで輸送することによって新しい価値を見出す。
そういったニーズを見つけるのも、輸送に携わる者の大切な仕事ですし、上手くマッチングできた時の喜びはひとしおです。