Tajimi Express Co.,Ltd Presents

鉄道アーティスト・鉄道コンテナアドバイザー小倉沙耶の通運ってこんなにおもしろい!

E&S方式によるメリット。荷役線出線時刻と持込締切時刻のはなし

前回はE&S駅の概要についてお伝えしましたが、今回は通運の現場としてのお話しです。

 

前々回でお伝えしたコンテナ時刻表の左側には、太字で荷役線出線時刻、そして括弧でくくって発時刻が書かれています。普通の列車の場合は出発時刻が大切ですが、コンテナ列車の場合は、出発前に編成を完成させなければなりません。ですから、荷役線出発時刻が先に書かれているのです。

 

そして、コンテナ車への積み込み作業の締め切りは、もう少し前になってきます。これを「持込締切時刻」といい、通運にとっては何よりも大切な時刻となります。
普段、持込締切時刻がギリギリになるような配車は組みません。積み込みを行っているドライバーさんの負担がとても大きくなるからです。しかし、荷物が揃わなかったため積み込みが大幅に遅れてしまった、どうしても早めの列車に乗せなければならない等々トラブルや事情があり、やむを得ない場合もあります。
また、到着列車が遅れた場合、駅には着いているものの、入れ換え作業等の関係でなかなか荷役線に入ってこないことも。

 

E&S方式の駅では着発線で荷役作業を行うことができるため、従来の貨物駅に比べて荷役時間を大幅に短縮できるようになりました。そのため、荷役線出線時刻と発時刻はほぼ変わらないことが多く、従来駅に比べて持込締切時刻にも余裕が生まれました。持込締切時刻に余裕があり、発着ともにスムーズな荷役作業が行えるE&S駅は羨ましく感じますし、もっと増えてほしいとも思います。

 

お客様から集荷依頼があった際には、集荷時間と持込締切時間を勘案しながら積載する列車を決めていきます。集荷に余裕が持てるよう、自分のデスクの下敷きには、各列車の持込締切時刻が書かれた表を入れていました。

 

複数の行き先が連なる列車の場合は発時刻に対して締切時間がかなり早いものもあり、入社当初は間違えないように表へ蛍光ペンで書き込みをして、間違えないように気を付けていたのをよく覚えています。

 

多治見通運の鉄道コンテナ輸送についてはこちらをご覧ください
http://www.tajimituuun.co.jp/railway-container.html

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小倉沙耶

PROFILE

小倉沙耶 こくら・さや

鉄道コンテナアドバイザー・鉄道アーティスト
都市交通政策技術者

1980年3月30日生まれ、愛知県豊橋市出身で現在は兵庫県伊丹市在住の鉄道アーティスト。子供の頃から母の実家である長崎に寝台特急「さくら」で何度も帰省し、その鉄道の旅情に魅了され、鉄道ファンとしての情熱を抱く。
2002年から「鉄道アーティスト」としての活動を開始し、テレビ・ラジオ出演や執筆活動だけでなく、鉄道イベントの司会や企画、講演なども手がけている。モットーは「鉄道に関わる全ての方が、笑顔でいられるためのお手伝い」。
2009年には明知鉄道観光大使に就任し、2013年には京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニットより都市交通政策技術者(第112号)に認定された。
2022年からは一般社団法人交通環境整備ネットワークの審議役を務め、通運の経験を生かし、鉄道コンテナアドバイザーとしても活動している。2021年には出産し、乳幼児連れでの公共交通利用促進と周囲の理解についてメディア・イベントなどで積極的に発言している。
鉄道趣味の中心は気動車・貨車・古いレールであり、その情熱を通じて広く鉄道文化の普及に尽力している。